ノーベンバーレイン{立読みサイト}

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 そこには女性が立っていた。肩上くらいまでの長さの綺麗な金髪を耳にかけ、幅広のサングラスをしていた。耳には小さな赤い石がついたピアスをしていた。サングラスは深い紺色のグラデーションがかったもので、顔の曲線に沿うように作られていた。安い物には見えなかった。鼻筋が通って、顎が細い彼女の顔にはよく似合っていた。
 細身のジーンズをはき、なんの柄もない体にぴったりと張り付くようなTシャツを着ていたが、彼女にはどことなく高級感が漂っていた。それはさりげなくつけたアクセサリーのせいかもしれないが、それよりも彼女自身の内側からにじみ出てくるもののせいであるように感じた。
 僕は一瞬、彼女がアメリカ人なのかと思った。日本人には似合わなそうな形のサングラスが似合っているところや、体型や髪型がアメリカの女優のように見えたからだ。でも、日本語は上手かった。僕は、日系のアメリカ人か、アメリカ生活の長い日本人なんだな、と思った。
「ええ、昨日来ました」
 僕は彼女の方に向き直って言った。彼女は店員にグレープフルーツジュースを注文していた。
「一人?」
 彼女は店員からジュースを受け取りながら、また質問してきた。
「いえ、友達と二人です」
 僕は、二〇メートルほど先のブラックジャックのテーブルにいる友人、田部を指さした。田部は負けがこんできているのか、少しいらいらしていた。彼女は少し顔を上げて田部を見ていた。田部の体にはドイツ人の血が四分の一混ざっている。そのため、どことなく日本人離れした感じを受ける。日本人? と彼女が訊いてきた。ええ、と僕は答えた。彼女はなるほど、という感じでうなずき、僕の方に向き直った。

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