| アパートメントオラクル <240> =まぼろしラジオB= その日は朝から白いものがちらちらと降っていた。 Aは石油ストーブをつけるといつものようにラジオを聞いていた。 この半年あまり、Aは知り合いから依頼を受けた服の直しの仕事を細々としながら、ずっとラジオを聞いていた。 ラジオはAの夫とその家族の物語を日々、克明に伝えていた。 ラジオの中の時間が現実の時間に追いついたせいか、最初の頃のように二十四時間、話続けているわけではなかった。 何時間かごとに思い出したようにスイッチが入ると、Aの夫の現況を、物語を読み上げるかのように伝えていた。 |