携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第十三章


[M002]


涼子の顔は綺麗なままだった。

瞼をしっかりと閉じ、本当にまるで熟睡しているだけのように思えた。

涼子の薄っぺらな胸には心臓マッサージによるうっ血があった。

僕は診察の終わった涼子に服を着せ、一旦用意されたベッドへと運ぶために抱き上げた。

涼子の首は力なく倒れ、僕は慌ててその首を支えた。

僕はその時、涼子がいつも抱かれる時に、きちんと抱かれる体勢をとっていたのだと知った。

僕の目からは相変わらず涙が流れ続けていた。

それは自分ではどうしようもできないことだった。

僕はベッドに寝かされた涼子を見ていた。

きちんと薄い掛け布団をかけられた涼子はやはり寝ているだけに思えた。

顔は薄ピンク色で、健康そうにさえ見えた。

看護婦がやって来て泣いている僕を見て、僕にどうしたのか聞いた。

僕は涼子が、この目の前の小さな女の子が死んだと告げた。

その看護婦は事情を知らなかったらしく、まさか、という顔をしたが、すぐに本当に涼子が死んでいるということに気がついたらしく、それ以上は何も言わずにすぐに部屋を出て行った。



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