携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第十二章


[L002]


僕の部屋の中に響子がいるなんて信じられないことだった。

でも彼女は僕の部屋の中にいた。

僕の部屋の籐椅子に座ってゆっくりと部屋の中を見回していた。

まるで友達の誕生日プレゼントに何か買えそうなものがないか探しているようにも見えた。

僕は涼子を抱っこしていた。

涼子は半纏にくるまれ、蓑虫のようになっていた。

昔話にあるような大きな桶に入れられて川に流された子のように小さくなっていた。

「これでも十二歳なんだよ」

僕は涼子を抱いたままベッドの上に座った。

響子は僕に身を寄せると涼子の顔を覗き込んだ。

涼子は誰か知らない人がいるようだな、という感じで首を振って響子を見ていた。

「抱いてみるかい?」と僕が言うと、「なんだか怖いわ」と響子は返した。

「大丈夫だよ。こう見えても結構丈夫なんだ」

僕は言った。

響子はうなずくと、涼子をそっと抱いた。

涼子は響子に抱かれると、うう、と声を出した。

そして手を伸ばして響子の髪を掴んでひっぱった。

響子はいたたた、と言いながら、髪を涼子の手から外して耳にかけた。

「髪の毛を引っ張るのが好きなんだ。あとティッシュペーパーとかも。
そばにティッシュのケースがあると、いつの間にか全部出して口に入れてしまうんだ」

「危ないわね。窒息したりしないの?」

涼子はおとなしくしていた。



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