携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第十章


[J005]


 *


想像力が貧弱なせいか、もしくは逆に想像力が豊かであるせいか、時々僕らはひどく頑なに口を閉ざし、耳をふさぎ、瞼を閉じて首を横に振り続けてしまう。

それは結果としてやはり、自分自身に不幸というジャンルの状況が芽生えてしまうにも拘わらず、僕らは薬局やケーキ屋の前に立っている首振り人形のように首を振り続ける。

その時首を振ることが、朝がやってきたらなんの疑いも持たずに顔を洗い、歯を磨かないといけないと思っていることと同じくらい、本人にとっては自然なことに感じられたからだ。

でも、ある種の意地悪な罠が隠されている。

踏んでくれと言わんばかりの大きな地雷が隠されている。


そこに一体どんな種類の問題が潜んでいるのかをしっかりと把握することは難しい。

だから、それに対して一体どんな行動を起こせばいいのかもよくわからない。

わからないというよりも、そんな行動を起こすべき状態に自分がいたことすら気がつかないで、物事が過ぎ去っていってしまった後になって、

あれ、そういえば、どっかで何かに火をつけたような気がするなあ。
どこだったかなあ。あの火って、その後どうなったんだろう?

なんてのんきに考えたりもする。

そういうことがたまにある。


 *

<第十章終わり>


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