携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第七章
[G009]
「すごいじゃない」と瞳が横で言った。
二本目が始まった。
さすがにこれまで何十人も倒してきただけあって、ドレッド男は僕の小技をことごとく防いで反撃に出た。
僕のキャラクターはじわじわと体力を削られていった。
最後の方で僕は一発逆転になる大技を出したが、難なくかわされ倒された。
ああ、というため息が僕の周りの観客から聞こえた。
どうやらみんなあのドレッド男が負けるところを見たいらしい。
三本目になった。
僕は賭でいきなり大技を出した。
だが、この賭は外れ、僕のキャラクターは空中に浮かされ、なす術もなく攻撃をくらった。
そこからはどうにも体勢を立て直せなく、僕は負けた。
あああ、と僕の周りの観客が言った。
僕は立ち上がりながら、負けた、と言った。
おしかったのにな、と渡海が言った。
「だめだ。どうにも今日は調子が出ない」と僕が言った。
「いつでも勝てるわけじゃないんだあ」と瞳が言った。
そうだね、と僕は言った。
もう一回やれよ、という声もあったが、僕はどうにも気がのらなかったのでやらなかった。
ドレッド男はのっていたし、調子がよさそうだった。
こんな時はどんなにやっても勝てないものだ。
その後、僕らは数回レースゲームやピンボールを楽しんでから外に出た。
〈R〉に戻るのもまだ早い気がしたので、もう少し夜の街をふらつくことにした。
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