携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第七章
[G007]
僕は渡海のところへ行った。
「ヤツは強いな」
渡海が言った。
僕は渡海の視線の先を見た。
知らない顔だった。
ドレッド頭で肌の浅黒い男だった。
彼はすでに二十連勝していた。
しかもほとんど十秒くらいで勝負を決めている。
渡海はドレッド男の向かい側に回り、挑戦者の列に入った。
ドレッド男はその後も勝ち続けた。
僕はじっと彼のキャラクターの動きを見ていた。
渡海の番になった。
彼は一〇〇円玉をゲーム機に入れるとスタートボタンを押してドレッド男に挑戦した。
勝負は二本先取した方が勝つ。
渡海とドレッド男の戦いは激しく、忙しいものだった。
渡海もこのゲームの特性は知っており、どのような時にはどんな対応をすればいいのかは知りつくしていた。
ドレッド男もそこら辺は全て知っているようだった。
だから、二人の戦いはお互いの体力をじりじりと削っていくものであり、一気に勝負はつかなかった。
一瞬の読みと賭に小さな勝負をかけて相手を追いつめていくのだ。
一本目は僅差でドレッド男がとった。
でも二本目はドレッド男が気を抜いたのか、渡海があっという間に勝った。
それでドレッド男の心に火がついたのか三本目はドレッド男の猛攻が来た。
渡海も必死に抵抗していたのだが、おしいところで負けた。
「くっそー」
渡海は椅子から立ち上がりながら言った。
「ああ、おしい!」と瞳も言った。
「ミズサワ、やってみろよ」
渡海が僕らのところに戻ってきて言った。
「ユキって強いの?」
瞳が訊いてきた。
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