携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第七章


[G003]


「あの人、変わったタバコがあるからこっちに来ないかって言って……」

瞳が言った。

「タバコじゃない」

僕は言いながら首を横に振った。

そうなんだあ、と瞳は言った。

「腹減ったからなんか食いに行こうぜ」

渡海はそう言いながらエレベーターのボタンを押した。

少しするとエレベーターの扉が開いた。

僕らはそれに乗ると一階へと向かった。

五分ばかり歩いたところにある二十四時間営業しているカフェに僕らは入った。

渡海はカツカレーを注文し、僕と瞳はコーヒーを注文した。

「よくこんな夜更けにボリュームのあるもの食べられるな」

僕は渡海に言った。

「動いたら腹減ったんだ。夜更けだろうとなんだろうと関係ない。俺はいつでもよく食べる。食べられる時に食べる」

渡海が言った。

店の中は夜遅いにも拘わらず、行き場のない客で賑わっていた。

「でも、渡海さんって太っていないわよ」

瞳が言った。

「こいつは人の三分の二しか腸の長さがないんだ。だから栄養が取りづらいんだよ」

僕はコーヒーを飲みながら言った。

「ほんとなの?」と瞳が渡海に訊いた。

「ああ、昔、交通事故に遭ってレントゲン撮った時に医者に言われた。その代わり心臓は人よりでかくて強いって」

「剛毛も生えてるの?」

瞳が言った。



[→次]
[←前]



[ノーベンバーレイン目次]
[ノーベンバーレインTOP]



[窪璃音の携帯小説TOP]

↓窪璃音のHP(PC用)
小説オンライン