携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第六章


[F008]


 *


電子レンジと電子レンジ用食品の関係というのがあると思う。

もちろん電子レンジは普通に水を温めることも、冷えた前日の夕食の残りを翌日の朝に温め直すこともできる。

電子レンジ用食品だって湯煎したり、フライパンで焼いたり、ストーブの前でじわじわ温めてから食べることだってできる。

だから、彼らは相互に強く依存しているわけではない。

そうだな、レコードとプレーヤーほどではないと思う。

微妙なところだけど、そういうことだ。

それでも彼らは互いに互いを必要としている。

それはわかってもらえると思う。

もし、例えば彼らが電子レンジと電子レンジ用食品の関係だとしたら、僕は一体彼らの何を否定して、彼らを指さして大声で、
 「へい! 君達の関係はこの地球上では健全じゃないぜ! 間違っている! この世界じゃ、そいつはいけないことなんだ! わかるだろう!」と言えるのだろう。

まあ、確かにクレイジーな考えではあると思う。

そんなことを渡海に言ったら、あいつはけたけた笑っていた。

横で聞いていた美里さんはそんなに笑っちゃ悪いわよって言っていた。

でも、言い訳を言わせてもらえば、それは自然に思ったんだ。

柿を食べて、種をぷっと庭に吐き捨てたら、数年後に柿が食べられるようになったというのと同じで、特に意識したわけではなく、そうして芽生えてしまったものなんだ。

とにかくそういうことだ。


 *

<第六章終わり>


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