携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第六章


[F005]


そうこうするうちに何故か僕は奥の事務所に連れて行かれた。

事務所には他のスタッフが二人いた。

二人とも女の人で、個性的な魅力を持った人達だった。

僕は何故このギャラリーには綺麗な女性スタッフしかいないのか不思議だった。

たまたまなのか、ギャラリーのオーナーの趣味なのかはわからなかった。

事務所に通された僕は差し出された椅子に座って彼女達と雑談を始めた。

響子は僕の前にコーヒーをいれて持ってきた。

そしてまた受付へと戻っていった。

僕はこの時、当然のごとく響子と話がしたかった。

だが、彼女は視界からいなくなってしまった。

彼女には彼女の仕事がまだあるようで、僕は少しがっかりした。

だが、この事務所にいる個性的で充分魅力的な他のスタッフの話はおもしろく、僕の興味をそそるものであった。

どれくらいだろう? 多分二時間近かったのではないかと思われる。

僕はそんな長い時間、事務所で二人のスタッフと話し込んでいた。

響子は時折その部屋に訪れ、スタッフと会話をし、何かを持ってきたり持って出て行ったりしていた。

僕はスタッフとの会話から、彼女が響子という名前であることを知った。

僕は響子が事務所に入ってくる度にどきどきしながら彼女を見ていた。

あまりじろじろ見ると悪い気がしたため、露骨に凝視はしなかった。

でも本心ではものすごく彼女をじいっと見ていたかった。

結局、僕はそのギャラリーの事務所で遅くまで過ごした。

ギャラリーを閉める時間になると、スタッフ達は帰り支度を始めた。

僕も椅子から立ち上がり、帰ることにした。



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