携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第六章
[F002]
路地に面したウィンドウ越しにもいくつかの作品を見ることができた。
僕は確かに最初はギャラリーの看板に興味を惹かれた。
次にウィンドウのところに行って鉄製のオブジェに興味を持った。
だけど、最終的にはそのウィンドウの向こう側にいる響子に目が釘付けになった。
そして僕はまるで魔法にかけられたように中に入らないではいられなかった。
僕はギャラリーの扉を開け、中に入っていった。
そして鉄製の奇妙なオブジェを見て回った。
でもはっきり言って、この時、僕は何も見ていなかった。
頭の中は受付の彼女のことしかなかった。
なんだかよくわからない冷たい鉄のオブジェよりも、彼女の方が芸術的にさえ優れているような気がした。
ギャラリーは狭く、見るのには十分もかからなかった。
僕の他にお客はいなかった。
僕はまた受付へと戻ってきた。
受付の横には様々なパンフレットが並んでいる棚があった。
僕はその棚にあるパンフレットを手に取ったり置いたりしていた。
パンフレットを手に取ってはみたけれど、そこに何が書かれているのかなんて全く読むことはできなかった。
僕は横に響子の視線を感じていた。
受付に座る響子の視界には自然と僕が入ってしまった。
僕はどうするべきか迷っていた。
迷っていたというよりは、どうすればいいのかわからないといった方がよかった。
僕は基本的にそんなに女の人が苦手ではなかった。
その時はいなかったけれど、少し前までは適当な遊び友達感覚の彼女のような人はいたし、十八歳の男が経験するようなことは一通りしてきていた。
だが、所詮十八年しか生きていない。
何ができるって言われても、そう言えば何ができるのだろうと頭を抱えてしまう年齢だった。
もっともそういうのは人によるのかもしれない。が、とにかく僕はそういう状態であったわけだ。
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