携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第五章
[E001]
*
ラスベガスの昼下がり、退屈が僕を満たしていた。
ひどく瞳に会いたくなった。
彼女に会って、彼女の愚痴やため息や憤慨や笑い声を聞きたかった。
ふふんと鼻で笑うところを見たかったし、喫茶店で飲み物を注文するのに三十分くらいかける彼女に付き合いたかった。
でも、現実の彼女は何千キロも離れた場所にあるベッドの中にいるはずだった。
すうすうと小さく寝息を立て、たまにもぞもぞと動いて寝返りをうっているはずだった。
明日の天気がこのラスベガスのように晴天ならば、彼女は学校には行かずにお気に入りの屋上で一服しているかもしれない。
僕は彼女がつまらん、つまらん、と言いながら屋上でごろごろしている様が、あまりにも簡単に想像できるのでおかしかった。
*
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