携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第二章
[B011]
「おっさんね、まあそうかも。君の年くらいの子から見たらね」
「でもまだ二十歳でしょ。私とそんなに変わらないわ」
「なんで僕の年を知ってる?」
「なんとなく見た感じでよ。童顔だからもっと若く見えるけど、実際にはそれくらいなんでしょ?」
僕はふうん、と言った。
店員がコーヒーとブラウニーサンデーを持ってきて僕らの前に置いた。
僕は冷房でどんどんと冷めていくコーヒーを飲みながら言った。
「渡海?」
「えっ?」
「渡海の知り合いか?」
「都会?」
「渡るに海の渡海。人の名前」
彼女は首を傾げていた。
芝居をしているようには思えなかった。
渡海の知り合いではないのか、と僕は思った。
とすると、一体どこで僕と会っているのだろう。
彼女は年齢的にクラヴには到底入ることはできない。
年を偽ったとしても入れてはもらえないだろう。
それに、彼女くらい個性的なら、一度会えば絶対に覚えているはずだった。
僕は本当にどこで彼女とつながりがあるのか全くわからなかった。
でも、だんだんとそんなことはどうでもよくなってきた。
「で、何を悩んでいるんだ?」
僕は訊いた。
えっ? と彼女は首を傾げた。
「何か悩んでいて電話をかけたんだろ?
本当は僕の好きな食べ物を知りたくて電話をかけてきたわけじゃないんだろ」
「ああ、そのことね。そうね、でも確かにあなたの好みを知りたいってのはあったのよ。
あとは、なんていうか、いろいろわからないこととかあったんで、そういうのを誰かに話したいなって思って電話をかけたの」
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