携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第二章


[B006]


「ふむ、なるほど。でも、今日は異常に暑い。人混みには出たくない」

「私は十七なのよ」

「何?」

「十七歳なの」

「ああ、そう。それが何か?」

「だから、十七のイケテル女の子が誘っているのよ。ちょっとくらい暑くても出てきてよ」

十七歳の知り合い?

すぐには思いつかなかった。

「自分でイケテルとかって言うか?」

「もう、とにかく一時間後に来てよね。絶対よ、わかった? もし来てくれなかったら本当に死んでやるから。
死んだ理由はこの家に住む男の人に騙されたからって、あなたの家の電話番号を書いた遺書を残すんだから、いいわね」

そう彼女はまくしたてて電話を切った。

受話器の向こうでツーツーという無気力な音がしていた。

僕はしばらく受話器を手に持ったまま立っていた。

それから、それを電話機の上に下ろした。

こちらから女に電話し文句を言いたかったが、この古い電話機では着信相手の電話番号を表示するような機能はついていない。



[→次]
[←前]



[ノーベンバーレイン目次]
[ノーベンバーレインTOP]



[窪璃音の携帯小説TOP]

↓窪璃音のHP(PC用)
小説オンライン