携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章
[A022]
彼女はじゃあね、と言いながら、にっこりと笑って立ち去ろうとした。
「あ、あの、名前はなんて言うのですか?」
僕は彼女に向かって少々慌てながら訊いた。
だが、彼女には僕の声が聞こえなかったのか、何も言わずに足早に去って行ってしまった。
僕は彼女が去って行った後、夢遊病者が見知らぬ場所で眼を覚まして途方にくれているようにぽかんとしてその場に立っていた。
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