携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章
[A021]
「今後はどうするの? ずっとラスベガスにいるの?」
彼女がジュースを飲みながら訊いてきた。
「ラスベガスは明日までで、明日の夜にロサンゼルスに行くことにしてます。
あいつがLAXから日本に帰るので。
その後はまあ……西海岸をふらふらする予定です」
「ふらふら?」
「ええ、何も予定は決まっていないんです」
ふむ、と彼女は言ってから、ブレスレットのような細い腕時計を見た。
「そろそろ行かなくちゃいけないわ。
楽しかったわ、ありがとう。
いい旅になることを祈っているわ」
彼女はそう言うと立ち上がり、右手を出して握手を求めてきた。
僕も立ち上がり、自分の手をズボンになすりつけて汗を拭ってから、彼女の手を握った。
彼女の手は細かったが、もろい感じはしなかった。
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