携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章
[A019]
「こっちで働いているんですか?」
僕は訊いた。
「……まあ、ある意味ではね」
彼女は少し考えてから言った。
「まあ、ある意味では」とは、どういう意味なのだろう、と僕は考えた。
大物ギャングの愛人みたいなものなのだろうか、などとも一瞬考えてしまった。
ちょっと妄想っぽいけど、この狂気の街ではありそうだったし、彼女の容姿なら、その「職業」も可能な気がしたからだった。
「常打ちギャンブラーなのよ」
彼女が言った。
「常打ち?」
「ギャンブルで生活しているってことよ。日本で言うパチプロみたいなものよ」
「常に勝つなんてことは可能なのですか?」
僕は当たり前の疑問を尋ねた。
「常に勝たなくても、どっかで勝って取り戻せばいいのよ。
常に勝ち続ける必要はないし、そんなのは無理よ。
そんな方法があるんなら教えて欲しいわ」
「いかさまとか?」
彼女は首を横に振った。
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