携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章
[A016]
「弁解って、そんなのは私に訊かないでよ。あなた、おもしろい人ね」
「そうですか? あんまり人にはおもしろいって言われないですね。
気難しいとはよく言われるけど」
「気難しい人なの?」
「さあ、そう言われることがあるってだけで、実際にはどうなのか僕にはわかりません」
まあ、そういうことはよくあるわね、と言いながら、彼女はテーブルと椅子が並べられた一角に目をやった。
「あっちで座って話さない?」
僕は少し迷って田部を見た。
田部は相変わらずブラックジャックの席でかっかとしながら、ゲームに熱中していた。
僕の中で一瞬だけ彼女に対する警戒心が芽生えたが、それはすぐに消えた。
結局のところ、海外に来て心が解放されていたし、ギャンブルのできない状態ではラスベガスにいても何をしたらいいのかもわからなかった。
ショーはたくさん催されているから、ギャンブルをしなくても楽しめるところはたくさんあるけれど、そんなのを一人で見たり、訪れたりするのはなんだかむなしい。
僕はうなずいた。
彼女は店員に氷をジュースに入れてくれるよう頼んでいた。
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