携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章


[A014]


「別に責めたわけじゃないのよ。
ただ、こっちにいるのが長いから自分でも知らない間にアメリカ色になっていたのかと思っただけよ」

「アメリカ色にはなっているのかもしれません。
でも、体重一〇〇キロでバケツのようなコーラのペットボトルに太いストローを差してごくごく飲んでいるわけじゃないし、どう考えても糖尿病になるための道具としか思えないくらいの殺人的な甘さのアップルパイを一日三回毎食後に食べているわけじゃないし、何キロものシリコンを胸に入れて虫みたいな体になって早朝ジョギングしているわけじゃないからいいと思いますよ」

僕はまた早口に言った。

彼女はなおも笑っていた。

よっぽどおもしろかったのか、カウンターにふせておなかを抱えて笑っていた。

少しするとおかしさが緩んだのか、体勢を直してから言った。



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