携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章


[A013]


「何故って言われても、なんとなく、あなたの持つ雰囲気が旅行者っぽくないし、アメリカ人のような格好をしているので……」

「アメリカ人のような格好かしら?」

彼女は言いながら格好を確かめるように、カウンターの向こう側にある鏡に映った自分の姿を見ていた。

「いや、アメリカ人のような格好と言っても、それは僕が幻想として抱いているアメリカ人であって、現実とはかけ離れたものであるのかもしれません。
僕は実際にはアメリカ人的なものってなんなのかはわからないんですよ。
要するにハリウッド型アメリカのイメージが強いんで……。
あれって幻想でしょう? 
でも、多くの人がUFOと言われてアダムスキー型を思い描くように、アメリカと言われると、どうしても映画の中で描かれるアメリカを思ってしまうんですよ。
ええと、何を言っているんだか自分でもよくわからないけど、その、あなたの格好が変というわけではないんですよ。
いや、逆にすごく似合ってます。
ハリウッドの女優のようですよ。
別にハリウッドの女優の友達がいるわけではないから、実際の彼女達がどういう人達なのかは知らないけど……」

僕は早口で言った。僕の慌てぶりがおかしかったのか、彼女は笑っていた。



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