携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章


[A011]


「あなたの友達、勝ったみたいよ」

彼女がまた少し顔を上げて言った。

僕は振り向き、田部を見た。

田部は満面の笑みを浮かべている。

「なんで二十歳なのにラスベガスに来たの? 
警備員の目を盗めばなんとか遊べるけど、やたら彼らは年齢を訊いてこない? 
日本人は若く見られがちだし」

「そうですね。それに僕は童顔だから余計に若く見られるんですよ。
さっきもスロットをしていたら警備員にパスポートを見せろって言われて……」

「追い出されて、ここへ来たのね」

その通りです、と僕はうなずいた。

「アメリカ自体には昨日着いたばかりなんですよ。
飛行機でロサンゼルスに。
で、夜、バスに揺られてここへ来ました。
田部が……あの友達だけど、あいつが飛行機に十時間も乗ってようやく着いた僕に向かって、すぐにラスベガスに行こうって言い出して聞かなくて……。
まあ、僕自身もラスベガスには来たいとは思っていたんだけど。
とにかく、そんな感じで結局、僕はさらに十時間もバスに揺られることになったんですよ」



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