携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章


[A010]


僕は、二〇メートルほど先のブラックジャックのテーブルにいる友人、田部を指さした。

田部は負けがこんできているのか、少しいらいらしていた。

彼女は少し顔を上げて田部を見ていた。

田部の体にはドイツ人の血が四分の一混ざっている。

そのため、どことなく日本人離れした感じを受ける。

日本人? と彼女が訊いてきた。

ええ、と僕は答えた。

彼女はなるほど、という感じでうなずき、僕の方に向き直った。

「あなたは遊ばないの?」

「多少はやりますよ。スロットとかコンピュータのポーカーとかは。
でも僕はまだ、二十歳なんですよ。来月には二十一になるけど」

アメリカでは、ギャンブルは二十一歳からじゃないとしてはいけないことになっている。

田部はすでに二十一歳なので、おおっぴらにギャンブルができる。



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