携帯恋愛小説
『ノーベンバーレイン』
窪璃音/著
第一章


[A002]


あの日も雨だった。



僕は車の中にいた。

雨は降り続け、街と車を濡らし続けていた。

フロントガラスを雨が生き物のようにうねり、絶えず形を変えながら流れ落ちていた。

僕はじっと涼子が眠っている葬儀場の濡れて灰色になった壁を見ていた。
 
ラジオのスイッチをいれた。
 
静かで悲しげな曲が流れてきた。

僕はいたたまれなくなり、車のエンジンをかけ、ゆっくりと走り出した。



そうだ、確かにあの日というものは存在していたのだ。



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